要介護認定とは?流れ・区分・基準をわかりやすく解説|申請前に知っておきたいポイント

「介護サービスを使いたいのだがどうすればいいか」

「要介護認定を受けるようにと言われたが、そもそもどんな制度なのか」

要介護認定とは、本人の心身の状態や日常生活の様子をもとに、どれくらい支援が必要かを公的に判断する仕組みです。

基本的には、要介護認定を申請しなければ介護サービスは利用できません。

本記事では、「要介護認定の流れ」「要介護認定で決まる介護区分とは」などについて解説します。

この記事を読めば、要介護認定について理解でき、現在の状況を整理するきっかけになります。

目次

要介護認定とはなにか

要介護認定とは、介護保険サービスを利用するために、本人の心身の状態を公的に判定する仕組みです。[1]

加齢や病気などの影響で、これまで当たり前にできていた日常生活の動作が、少しずつ難しくなることがあります。

要介護認定では、そうした変化がどの程度あるのかを確認し、介護が必要かどうか、どの程度の支援が必要かを整理します。

また、介護の必要度は病名や年齢だけで決まるものではありません。

歩く、立ち上がる、身の回りのことを行うといった、日常生活への影響をもとに判断されるのが特徴です。

認定は、公平性を期すために全国一律の基準で行われます。

そのため、「本当に支援が必要な状態なのか」「どのくらいの支援が想定されるのか」を、客観的に整理できるのです。

介護保険制度については以下の記事をご覧ください。

要支援と要介護の違いとは

要介護認定により、介護の必要度は「要支援」「要介護」「非該当」に分類されます。

それぞれの違いは以下の通りです。[2]

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区分概要
要支援1・2食事、入浴、排せつなどに部分的な支援が必要な状態基本的には自立しているが、将来的に介護が必要になる可能性がある
要介護1〜5食事、入浴、移動などの日常生活において常時介護が必要な状態
非該当現時点では介護保険による支援が必要ではない状態
参考:介護保険制度における要介護認定の仕組み|厚生労働省

要支援は、日常生活のなかで「少し手助けがあれば、自立した生活を続けられる状態」を想定しています。

一方、要介護は食事や入浴、移動などの場面で、継続的な支援や介助が必要になる状態です。

これらは、数字が大きいほど「できないことが多い」という意味ではなく、どの程度の支援が必要かを整理するための目安として使われています。

生活の状況や困りごとは人によって異なります。

要介護(要支援)による区分は、その方に合った支援を考えるための整理表のようなものと考えましょう。

要介護認定はどのような基準で決まるのか

要介護認定は、日常生活の様子をもとに、「介護にどれくらいの手間がかかるか」を総合的に判断して決まります。

この決定のもとになるのが、その方の介護にかかる手間を時間で数値化した「要介護認定等基準時間」という指標です。[2]

要介護認定等基準時間をもとに、保健・医療・福祉の分野の専門家で構成された審査会が、本人の状態や生活への影響を踏まえて最終的な要介護度を判断します。

ここからは、要介護認定等基準時間について詳しく見ていきましょう。

要介護認定等基準時間を評価する要素

要介護認定等基準時間は、調査員による訪問調査をもとにコンピュータにより推計されます。評価されるのは主に以下の5分野です。[2]

分類概要
直接生活介助入浴、排せつ、食事に関わる介護など
間接生活介助洗濯、掃除などの家事援助
BPSD関連行為認知症による問題行動に関する行為(徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末など)
機能訓練関連行為歩行訓練、日常生活訓練などの機能訓練
医療関連行為輸液の管理、じょくそうの処置などの診療の補助
参考:介護保険制度における要介護認定の仕組み|厚生労働省

要介護認定等基準時間による分類

要介護認定等基準時間は、前述した5分野と、認知症高齢者の指標を加味して以下のように分類されます。

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区分概要
要支援1要介護認定等基準時間が25分以上32分未満またはこれに相当すると認められる状態
要支援2要介護認定等基準時間が32分以上50分未満またはこれに相当すると認められる状態
要介護1要介護認定等基準時間が32分以上50分未満またはこれに相当すると認められる状態
要介護2要介護認定等基準時間が50分以上70分未満またはこれに相当すると認められる状態
要介護3要介護認定等基準時間が70分以上90分未満またはこれに相当すると認められる状態
要介護4要介護認定等基準時間が90分以上110分未満またはこれに相当すると認められる状態
要介護5要介護認定等基準時間が110分以上またはこれに相当すると認められる状態
参考:要介護認定はどのように行われるか|厚生労働省

身体機能に大きな低下が見られなくても、認知症により介護に必要な時間が増えて、要介護度が増す可能性もあります。

また、要介護認定等基準時間は、あくまでも介護の必要性を量る「ものさし」です。

これらの時間は特別な方法により算出したものであり、​​実際に家庭で行われる介護時間ではありません。

要支援~要介護の8区分とは

要介護認定では、心身の状態に応じて「非該当(自立)」「要支援1・2」「要介護1〜5」まで、8つの区分に分けられます。[1][2]

ここからは、それぞれがどのような生活状況を想定しているのかを見ていきましょう。

非該当(自立)

日常生活の多くを、自分ひとりで行えている状態です。

多少の不安や衰えはあっても、介護保険による支援が必要な段階ではないと判断されます。

要支援1

身の回りのことはおおむね自分でできますが、体力の低下や物忘れなどにより、生活の一部で見守りや軽い手助けが必要な状態です。

要支援2

要支援1よりも、日常生活での困りごとが増えてきた状態です。

ひとりでの買い物や意思決定に不安があるため、継続的な支援があると生活しやすくなります。

要介護1

要支援から、さらに家事や身の回りの動作に支えが必要になることが増えてきた状態です。

日常生活は続けられますが、部分的な介助が必要な場面が目立ちはじめます。

要介護2

要介護1と比べると、ひとりで行うのが難しい動作が増え、介助が必要な場面がはっきりしてきた状態です。

「歩く」「身体を洗う」といった、生活における基本的な動作にも困難さが目立つようになります。

要介護3

要介護2と比較して、日常生活の多くの場面で介助が必要になった状態です。

排せつや寝返りなどの基本的な動作にも困難さを感じることがあります。

自分ひとりで過ごすことが難しく、日常的な支援が欠かせなくなってきます。

要介護4

生活全般において、ほぼ常に介助が必要になります。

移動や身の回りのことを自分で行うのが難しく、見守りの負担も大きくなっている状態です。

要介護5

ほとんどの動作において介助が必要な状態です。

食事、移動、排せつなどの日常生活をひとりで行うことは困難であり、常時の支援が想定されます。

要介護認定を受けるには

要介護認定を受けるためには、まず申請を行う必要があります。

ここからは、申請の窓口や申請できる人、準備しておきたいものについて見ていきましょう。

要介護認定を申請する窓口

要介護認定の申請は、お住まいの市区町村の役場で行います。

多くの場合、介護保険担当課や高齢者福祉に関する窓口が申請先となるでしょう。

また、一部の市区町村では、郵送の申請に対応しているところもあります。

申請方法がわからない場合は、事前に市区町村へ問い合わせましょう。[3]

要介護認定を申請できる人

原則として、申請できるのは介護を受けようとする本人です。

ただし、加齢や体調などの理由で本人が手続きを行うのが難しい場合は、以下の方により代行の申請が可能です。[4]

  • 家族または親族
  • 介護保険施設の職員
  • 居宅介護支援事業者の職員
  • 地域包括支援センターの職員

申請を代行する場合は、委任状や印鑑、身分証明書の提示を求められることがあります。

要介護認定の申請に必要な物品

申請時には、一般的に次のようなものが必要になります。[3]

  • 介護保険被保険者証
  • 要介護(要支援)認定申請書
  • 医療保険の加入を確認できるもの
  • かかりつけ医の情報(医療機関名や医師名など)
  • 本人確認ができるもの(マイナンバーカード、健康保険証、運転免許証など)

詳しい内容は自治体によって異なるため、不安な方は事前に確認しておくと良いでしょう。

要介護認定を申請する流れとは

要介護認定を申請する流れについても見ておきましょう。

  • 市町村窓口で申請する
  • 訪問調査を受ける
  • 主治医意見書の作成
  • 一次判定
  • 二次判定
  • 結果の通知

それぞれ、解説します。

市町村窓口で申請する

お住まいの市区町村の役場で、申請を行います。

申請は原則として本人が行いますが、状況によって代理申請が可能です。[3]

申請の流れについては以下の記事もご覧ください。

訪問調査を受ける

認定調査員が本人のもとを訪問して、心身の状況や生活環境について調査を受けます。

調査する主な項目は以下の通りです。[2]

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項目概要
身体機能・起居動作麻痺や拘縮の有無、寝返り、起き上がり、座位保持(10分間程度)、立ち上がり、歩行、片足での立位などの動作確認
生活機能移乗(ベッドから車いすなど)、移動、えん下(飲み込み)、食事摂取、排尿・排便、口腔清潔(歯磨き)、洗顔、整髪など
認知機能意思の伝達能力、日課の理解、生年月日や現在の場所、季節の理解、徘徊の有無程度など
精神・行動障害ひとりで外に出たがる、物を集める、物を壊す、ひどい物忘れ、独り言、自分勝手な行動など
社会生活への適応薬の内服、金銭管理、日常の意思決定、買い物、簡単な調理など
特別な医療過去14日間に受けた特別な医療行為(点滴、中心静脈栄養、人工透析など)の有無や頻度など

調査にかかる時間は30分〜1時間ほどです。

原則として訪問調査は、自宅、病院、介護施設など本人が生活している場所で行われます。

主治医意見書の作成

主治医意見書は、申請者の心身の状態を医学的な見地から記載したもので、市区町村が認定審査を行うための重要な資料となります。[4]

主治医意見書は、かかりつけ医に依頼して作成してもらうのが一般的です。

かかりつけがない場合は、市区町村の窓口に相談することで、医療機関を案内してもらえることがあります。

一次判定

一次判定とは、要介護認定の過程で最初に行われるコンピュータによる判定のことです。

認定調査の結果と主治医意見書に基づき、介護にかかる手間を時間に換算して区分を算出します。 [2]

一次判定の結果は、あくまで「原案」または「仮の判定」です。この結果と、主治医意見書をもとに二次判定が行われます。

二次判定

二次判定は、要介護認定の過程における最終的な要介護度を決定する審査・判定です。

二次判定では、各市町村で保健・医療・福祉に関する学識経験者(医師・保健師・社会福祉士など)によって審査が行われます。

一次判定の結果や、一次判定で評価しきれない個々の状況(特記事項や主治医意見書の内容)を踏まえ、公平かつ客観的に審査し、適切な要介護度を決定します。[2][4]

結果の通知

認定結果は、「認定結果通知書」によって確認可能です。

認定結果通知書は、市区町村から申請者の住民票の住所宛てに郵送されます。

通知までの期間は原則として「申請から30日以内」です。

ただし、調査や確認に時間がかかる場合などは、結果の通知が遅れることもあります。[4]

要介護認定を受けるメリット・デメリット

要介護認定を受けるかどうか迷っている方にとって、メリットとデメリットを知っておくことは大切です。

ここからは、主なポイントを整理しておきましょう。

要介護認定を受けるメリット

要介護認定を受ける最大のメリットは、介護保険サービスを利用できるようになることです。

これにより、介護が必要になった場合でも、家族だけで抱え込まず、外部の支援を組み合わせながら生活を続けることができます。

また、本人の状態が公的に整理されることで、「どの程度の支援が必要なのか」を客観的に考えやすくなります。

家族にとっても、今後の介護や見守りについて考えるひとつの目安となり、将来に向けた備えを進めやすくなるでしょう。

要介護認定を受けるデメリット(と感じられやすい点)

一方で、要介護認定について調べるなかで、「デメリットがあるのではないか」と感じる方もいるかもしれません。

たとえば、申請や調査に手間や時間がかかること、「要介護」「要支援」という言葉に心理的な抵抗を覚えることなどが挙げられます。

ただし、これらは制度そのものの欠点ではなく、利用する過程で感じやすい負担や戸惑いといえます。

要介護認定を受けたことで、生活に制限が出たり、必ず介護サービスを利用したりする必要はありません。

要介護認定は、本人や家族を評価するものではなく、必要な支援を考えるための仕組みです。

生活のなかで困りごとや不安を感じ始めた段階で、前向きに検討してみましょう。

まだ申請しなくても大丈夫?迷ったときの考え方

要介護認定は、介護が必要だと感じたときが申請のタイミングです。

たとえば、以下のようなときが考えられます。

  • 日常生活に支障を感じはじめた
  • 退院が決まった(入院中の場合)
  • 家族の負担が大きくなってきた
  • 将来に備えて準備しておきたいと感じた
  • 物忘れや判断力の低下が気になりはじめた

大切なのは「これまでと比べて生活のなかで困る場面が増えていないか」「家族の負担が大きくなっていないか」といった変化に気づくことです。

なお、要介護認定は「今すぐ介護サービスを使うか」を決める制度ではありません。

とはいえ、自分で判断することが難しい場合もあります。

その際は、市町村の担当窓口や、地域包括支援センター(※)に相談しましょう。

制度の仕組みや流れを理解しておくことで、「いざ必要になったときに慌てずに済む」という安心感につながります。

※地域包括支援センター:高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、専門職が連携し、さまざまな支援を行う中核的な機関

要介護認定でよくある質問

最後に要介護認定でよくある疑問について見ていきましょう。

  • 認定結果に納得できない場合は、どうすればよいですか?
  • 要介護認定を受けると、必ず介護サービスを使わなければなりませんか?
  • 家族が大変だと感じている場合でも、要介護認定は受けられますか?

それぞれ、解説します。

認定結果に納得できない場合は、どうすればよいですか?

要介護認定の結果に納得できない場合、ふたつの対処法があります。

  • 区分変更申請を行う
  • 審査請求(不服申し立て)を行う

区分変更申請は、現在の認定内容を変更する必要があると判断したときに、改めて要介護認定の申請手続きを行う方法です。[5]

たとえば、認定後に体調が悪化したり、生活のなかで困る場面が増えたりしたときに利用されます。

この場合は、新たに要介護認定を申請し、改めて認定調査や主治医意見書をもとに判定が行われます。

審査請求は、認定の手続きや判断そのものに納得できない場合に行う方法です。

「調査内容が実際の様子と違っている気がする」「判断の過程に疑問がある」といった場合に選ばれます。

審査請求を行うと、第三者の立場で内容が確認され、認定結果が妥当だったかどうかが審査されます。

ただし、どちらも希望通りの介護度が出るとは限りません。現在の介護度より低い判定が出る可能性もあるため注意しましょう。

要介護認定を受けると、必ず介護サービスを使わなければなりませんか?

要介護認定は、あくまで「サービスを利用できる状態になる」ための仕組みです。

要介護認定を受けたからといって、介護サービスの利用を義務付けられるわけではありません。

本人の意思や心身の状態、生活状況に応じて必要なサービスを選んだり、利用しないという選択をしたりできます。

家族が大変だと感じている場合でも、要介護認定は受けられますか?

家族の介護負担をきっかけに、要介護認定の申請は可能です。

むしろ、家族が大変だと感じていることは、要介護認定を申請するきっかけとして重要です。

ただし、認定自体は家族の印象だけで決まるものではありません。

要介護認定は、あくまで本人の心身の状態に基づいて一定の基準に沿って総合的に判断されます。 [2]

なお、認定結果が「非該当」となった場合でも、市町村が中心となって提供するサービスを利用できるケースもあります。

不安がある場合は、市町村窓口や地域包括支援センターなどに相談しましょう。

要介護認定とは「今後を考えるための目安」

要介護認定とは、介護保険サービスを利用するために、本人の心身の状態を公的に判断する仕組みです。

要介護度は、病名や年齢だけで判断されるものではなく、日常生活への影響や支援の必要度をもとに、客観的に判定されます。

要介護認定を受けたからといって、すぐに介護がはじまったり、生活が大きく変わったりするわけではありません。

必要になったときに支援を受けやすくするための「準備」として考えることもできます。

まずは、自治体の介護相談窓口や、地域包括支援センターなどを活用しながら、今後どうしていくかを落ち着いて考えていきましょう。

参考資料:

[1]要介護認定の仕組みと手順|厚生労働省

[2]介護保険制度における要介護認定の仕組み|厚生労働省

[3]サービス利用までの流れ|厚生労働省

[4]要介護認定について|厚生労働省

[5]変更申請の注意事項|神戸市

[6]介護保険の審査請求(不服申立て)|東京都

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この記事を書いた人

藤本こうじ のアバター 藤本こうじ  看護師・介護福祉士・ケアマネジャー

2009年に介護福祉士を取得。グループホームにて7年間、認知症ケアに従事する。現場を通じて医療的な視点の重要性を感じ、2019年に看護師免許を取得。国立系病院で急性期医療を経験したのち、現在は地域医療の現場で活動している。

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