介護保険申請の流れをわかりやすく解説|初めてでも安心の手続きガイド

「介護保険ってどうやって使えばいいの」

「親に介護が必要になったけどどうしたらいいの」

介護が必要になり、このように考えている方は多いのではないでしょうか。

介護サービスを利用するためには、お住まいの地域で要介護認定を申請して「介護が必要な状態である」と認めてもらう必要があります。

本記事は「介護保険を申請する流れ」「介護保険を申請するときの注意点」などを解説します。

介護保険申請に関する悩みが解決できる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

介護保険とは

介護保険は、介護が必要になったときに、費用の負担を抑えながら介護サービスを利用できる制度です。

介護保険を利用することで、訪問介護(ヘルパー)や、福祉用具のレンタルなど、日常生活を支えるさまざまなサービスを原則1〜3割の自己負担で受けられます。

ただし、介護保険のサービスは「申請すればすぐ使える」ものではありません。

まずは市役所などで申請を行い、「介護がどの程度必要か」という認定を受ける必要があります。

介護保険を申請できる人とは

介護保険を利用できるのは、65歳以上(第1号被保険者)の方と、一定の条件を満たした40歳以上65歳未満(第2号被保険者)の方です。

介護保険の申請は、原則として要介護認定(※)を受ける本人が行います。

なお、本人による申請が難しい場合には、家族や申請代行を認められている事業者による手続きも可能です。

※要介護認定:介護や支援がどの程度必要かを、市区町村が調査や医師の意見をもとに判定する仕組み[1]

65歳以上の方(第1号被保険者)

第1号被保険者とは、お住まいの地域に住所がある65歳以上の方を指します。

65歳以上の方は、原因を問わず介護保険の申請により「介護が必要であると」判断されることで、介護サービスを利用できます。

40歳以上65歳未満で医療保険に加入している方(第2号被保険者)

第2号被保険者とは、40歳以上65歳未満の方で健保組合、全国健康保険協会などの医療保険加入者です。

なお、これらの方が介護保険を利用するためには、介護が必要になった原因が「特定疾病」であることが条件とされているため注意が必要です。

特定疾病とは、加齢に発症しやすく要介護の原因になりやすい病気で、以下の16種類が該当します。

  1. がん(末期)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

参考:介護保険制度について|厚生労働省

本人の代理人

本人による申請が困難な場合は、家族やケアマネジャー、地域包括支援センターの職員などによる代理申請も可能です。

介護保険の代理申請が可能な方は以下の通りです。

  • 親族
  • 地域包括支援センターの職員
  • 居宅介護支援事業者の職員
  • 介護保険施設の職員

代理人が手続きする場合は、委任状や印鑑、身分証明書などが求められることがあります。

手続きをスムーズに進めるためにも、申請先の市区町村の介護保険担当窓口や、お近くの地域包括支援センターに相談し、必要な書類を確認しておきましょう。

介護保険を申請する流れとは|5つのステップで解説

介護保険は、大きく以下の5つの流れで申請します。

  • 市区町村の窓口で申請する
  • 自宅などで認定調査を受ける
  • 主治医意見書を医師に依頼する
  • 介護認定審査会での判定
  • 認定結果が通知される

それぞれ、見ていきましょう。

市区町村の窓口で申請する

介護保険の申請は、お住まいの市区町村の窓口で行えます。

窓口の名称は自治体によって異なりますが、一般的には「介護保険課」「高齢福祉課」「長寿支援課」などが担当しています。詳細は各自治体のホームページや、問い合わせて確認しましょう。

また、申請に関する疑問は「地域包括支援センター」でも相談できます。

地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、介護、福祉などの支援を行う機関です。

各市町村に設置されており、介護保険をはじめとした介護に関する幅広いサポートを受けられます。[2]

認定調査を受ける

申請後は、市区町村の職員や、市から委託を受けた事業者が自宅を訪問し、心身の状態や生活の様子などを聞き取り調査します。

調査内容は、本人の身体の動き、食事・排泄・入浴などの日常生活動作の様子、認知症の有無や程度などです。

聞き取り時間は、およそ30分から1時間ほどで、全国共通の調査票に基づいて進められます。

主治医意見書を医師に依頼する

認定調査と並行して、市区町村が主治医に「主治医意見書」の作成を依頼します。

主治医意見書は、申請者の健康状態や病歴、介護が必要な理由について、医師の立場から記載する書類です。[3]

申請時に市区町村の担当窓口から「かかりつけ医(主治医)」の情報を求められます。

いつも受診している病院やクリニックの名称、医師名などをあらかじめ把握しておくとスムーズに手続きが進められます。

なお、要介護申請には主治医意見書が必須です。かかりつけ医がいない場合は、自治体の窓口に相談し、対応方法を確認してみましょう。

介護認定審査会での判定

認定調査が終了し、主治医意見書が作成されると、「介護認定審査会」で要介護度を決定するための審査が行われます。

介護認定審査会は、医療や福祉の専門職によって、「どの程度の介護や支援が必要か」を客観的に判断する会議です。[4]

提出された調査結果や、主治医意見書をもとに、以下のような流れで判定が進められます。

  • 認定調査の内容をコンピューターで一次判定を行う
  • 主治医意見書や特記事項をふまえ、審査会が二次判定を行う
  • 介護認定審査会の結果により、市区町村が介護の必要度を認定する

結果が出るまでは、原則として申請から30日以内とされています。

なお、認定調査員の不足や、介護認定審査会の開催状況により遅れることがあるため注意しましょう。

認定結果が通知される(要介護度が決定)

介護認定審査会による審査が終わると、申請者の自宅に「介護認定結果通知書」および「介護保険被保険者証」が郵送されます。

この通知には、介護度として以下のいずれかが記載されています。

介護度概要
要支援1・2軽度の支援が必要。主に介護予防サービスの対象
要介護1〜5数字が大きいほど、必要な介護の量が多い
非該当現在は介護サービスの対象外

なお、要支援、要介護に当てはまらなかった場合でも、非該当の方を対象としたサービスを受けられる場合があります。

地域包括支援センターや、市町村の介護保険課などが主な窓口となっているため、そちらで確認してみましょう。

介護保険申請に必要なもの

介護保険の申請をスムーズに進めるためには、必要書類や情報をあらかじめ準備しておくことが大切です。

申請にあたっては以下のものを用意しましょう。

必要なもの内容・補足
介護保険被保険者証申請者本人が介護保険制度の対象であることを証明します。
本人確認書類マイナンバーカード、健康保険証、運転免許証など。身元確認のために必要です。
申請書市区町村の窓口またはホームページから入手できます。当日窓口でも記入可能な場合があります。
主治医の情報氏名・医療機関名・診療科など。主治医意見書の作成に必要となります。
医療保険の加入を確認できるもの第2号被保険者(40歳以上65歳未満)の場合は必要となります。
代理権が確認できるもの介護保険被保険者証、要介護(要支援)認定更新手続きのお知らせ、委任状などが必要となることがあります。

なお、必要な書類は自治体によって異なることがあります。

詳細はお住まいの自治体に確認しましょう。

要介護認定後からサービスを利用までの流れ

要介護認定を受けても、すぐに介護サービスを利用できるわけではありません。

認定後は地域包括支援センター、もしくは居宅介護支援事業所にケアプランを作成してもらう必要があります。

ここからは、要介護認定後からサービス利用までの流れを見ていきましょう。

地域包括支援センターもしくは居宅介護支援事業所へ相談する

認定結果が出たら、地域包括支援センターもしくは居宅介護支援事業所にサービスの利用を相談します。

相談窓口は、介護度によって以下のように異なります。

認定結果担当窓口
要支援1・2地域包括支援センター
要介護1〜5居宅介護支援事業所(ケアマネジャーが在籍)

どちらの窓口も、お住まいの市町村によって、事業所として名称が異なるため注意しましょう。

なお、相談については無料で利用できます。

電話やメールで事前に相談予約ができることが多いので、まずは気軽に問い合わせてみましょう。

面談を行いケアプランを作成する

窓口に依頼すると、ケアマネジャーが本人や家族と面談し、どのような支援が必要かを見極めて計画を立てていきます。

この計画を「ケアプラン」といい、サービスの種類、内容などをまとめた介護サービスの設計図のようなものになります。

面談時には家族や本人の意見を聴取するため、生活の困りごとや要望、不安などは事前に伝えましょう。

サービス利用開始

ケアプランが完成して、サービス事業者の調整が終了すれば、介護サービスの利用開始となります。

なお、サービス開始後も、ケアマネジャーが定期的に本人や家族と連絡を取り、必要に応じてケアプランを見直してくれます。

不安や要望があればケアマネジャーやサービス事業者に伝えましょう。

介護保険の申請についてよくある質問

最後に介護保険申請についてよくある疑問についてお答えします。

  • 認定調査で落ちることはある?
  • 再申請はできるのか?
  • 介護保険を申請するタイミングはいつが適切?

それぞれ、見ていきましょう。

認定調査で落ちることはある?

介護の必要性が認められない場合、認定審査会の結果「非該当」となるケースもあります。

非該当になった場合でも、基本チェックリストで条件を満たした方は、サービスを利用できることがあります。

基本チェックリストは、高齢者の心身の状態を確認し、支援が必要かどうかを判断するための質問票です。[5]

介護が必要になる前の段階で、生活上の困りごとや体の変化に気づくことを目的としています。

チェック項目には、日常生活動作をはじめ、運動機能の低下、栄養状態、口の働き、外出頻度、気分の落ち込みなどが含まれています。

これらの結果をもとに、市区町村が「事業対象者」に該当するかを判断し、介護予防サービスにつなげていくのです。

再申請はできるのか?

状態が変化した場合や、認定結果に納得がいかない場合は、再申請が可能です。

要介護度を見直したい場合には、主に「審査請求(不服申立て)」「区分変更申請」のふたつの方法があります。

審査請求(不服申立て)とは、現在の認定結果に納得できない場合に、都道府県に設置された審査機関に対して判断の見直しを求める手続きです。

申し立てが認められた場合には、要介護認定が再度行われることがあります。

一方、区分変更申請は、心身の状態に変化があったときに行う手続きで、認定結果が実際の状態と合っていないと感じる場合にも利用できます。

なお、再申請したからといって、思い通りの介護度が出るとは限りません。現在より低い介護度が出る可能性もあるため注意しましょう。

介護保険を申請するタイミングはいつが適切?

「介護が必要かも…」と感じた時点ですぐに相談、申請しましょう。

「様子を見よう」と思っているうちに、状態が悪化する恐れもあります。市町村の担当窓口や、地域包括支援センターでの相談は無料です。

不安があれば、ひとりで抱え込まずに早めに行動しましょう。

介護保険申請の流れを知ることが第一歩になる

本記事は、介護保険の申請について解説しました。

介護保険は、原則として本人が申請する必要がありますが、状況によって家族や地域包括支援センターの職員などによって代行可能です。

自治体の窓口で申請後は、認定調査を経て「介護が必要か」を介護認定審査会にて検討します。

原則として、結果が出るまでは相談から30日以内とされていますが、認定が遅れることもあります。

「介護について不安がある」「介護サービスを使いたい」といった方は、早めに自治体の窓口や地域包括支援センターへ相談しましょう。

※参考資料

[1]要介護認定はどのように行われるか|厚生労働省

[2]地域包括支援センターについて地域包括支援センターについて|厚生労働省

[3]主治医意見書記入の手引き|公益社団法人 全国老人保健施設協会

[4]要介護認定 介護認定審査会委員テキスト 2009改訂版

[5]表4基本チェックリスト|厚生労働省

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この記事を書いた人

藤本こうじ のアバター 藤本こうじ  看護師・介護福祉士・ケアマネジャー

2009年に介護福祉士を取得。グループホームにて7年間、認知症ケアに従事する。現場を通じて医療的な視点の重要性を感じ、2019年に看護師免許を取得。国立系病院で急性期医療を経験したのち、現在は地域医療の現場で活動している。

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